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「サイトウ」の正式な漢字表記は「斎藤」

「サイトウ」姓の漢字表記は大きく分けて「斎藤」「齋藤」「斉藤」「齊藤」の 4 種類があるが、由来に基づいた正式な表記は「斎藤」およびその旧字体である「齋藤」だ。 「斉藤」およびその旧字体である「齊藤」は形が似ているだけで意味も読みも異なるまったく別の漢字であり、本来は誤用だ。

「サイトウ」姓の由来は「斎宮頭 (さいぐうのかみ) に任命された藤原 叙用 (ふじわら の のぶもち)」だ。 「斎宮頭」とは斎宮寮の長官 (最高責任者) という意味だ。 官職名と姓にちなんで「斎藤」姓ができた。 だから「サイトウ」の「サイ」は「斎宮」の「斎」なのだ。 「斉」ではない。 「斎宮」を「斉宮」などと書いたら教養を疑われるだろう。 同様に「書斎」の「斎」ももちろん「斎」だ。「書斉」ではない。 逆に「一斉に」は「一斎に」ではないし、「斉唱」は「斎唱」ではない。 「斎」は「さい」「ものいみ」と読み、「神聖な」「清浄な」などの意を表す。 「斉」は「せい」「ととのう」「ひとしい」と読み、「整う」「等しい」「そろっている」などの意を表す。 このように「斎」と「斉」は形が似ているだけで意味も読みも異なるまったく別の漢字だ。 「斉」は「斎」の略字体ではない。 なのに「サイトウ」となると当たり前のように「斉藤」と書かれてしまう。 「斉藤」ではもはや「サイトウ」ではなく「セイトウ」だ。

ではなぜ「斉藤」「齊藤」が出てきたのか。これは先祖や役所の人間の誤用や書き間違いであると考えられる。 名字というのは明治時代以前には貴族や武士など高貴な人間しか持つことができなかった。 それが に公布された「平民苗字必称義務令」により国民はみな公的に名字を持つことになった。 これにより庶民も役所に行き名字を申請した。 当時はコンピュータなどなく、すべて手書きだ。 このときに申請者自身や役所の人間によって誤った漢字で登録してしまったと考えられる。 「斎」の異字体が 31 種類もあるといわれているのもこれが原因であると考えられる。

※ 戸籍が「斉藤」「齊藤」で登録されているのであればその人にとっては「斉藤」「齊藤」が正しい表記だ。 ただしその場合は「斎藤」「齋藤」はまったく別の漢字なので法的には使うことはできない (逆もまた然り)。